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ハイドレンジア(紫陽花)の育て方!剪定や挿し木など長く育てるコツとは?

ハイドランジアは初心者にも比較的育て方が容易な植物です。ハイドランジアの花の特徴から、剪定や挿し木の方法などの育て方のコツまで、梅雨の時期や初夏の風物詩ハイドランジアの花を長く楽しむために知っておくと得する情報と育て方のポイントをご紹介します。
更新: 2021年12月7日
MMRICH
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ハイドランジアの特徴

ハイドランジアは、皆さんご存知の紫陽花(アジサイ)です。日本原産の品種をアジサイと呼び、ヨーロッパに輸出され、品種改良されて逆輸入されたものを、特に区別するために、ハイドランジアと呼んでいます。ハイドランジアはユキノシタ科の落葉低木。梅雨時に美しい花を咲かせる、初心者でも非常に育てやすい植物です。

ハイドランジアの品種

紫陽花(アジサイ)は学名をハイドランジア。アジサイ科・アジサイ属(ハイドランジア属)の植物です。(ユキノシタ科といわれることもある)アジサイと総称される広義の名前があり、椀状や円錐状の花序(枝状における花の配置状態)の植物をアジサイと呼ぶことがあります。 ハイドランジアは日本名でセイヨウアジサイとも言われ、特にデンマークで改良された品種には、濃いブルーや紫などのカラーバリエーションに富んだハイドランジアも見られ、見る人の目をたのしませます。

ガクアジサイ

ガクアジサイは千葉南部・三浦半島や伊豆といった比較的温暖で限られた海岸付近に自生しています。特徴は、花房の中心に小さなつぼみの様な花をつけ、その周りに装飾花と言われるいわゆるガクを付けます。株は比較的大きく成長しますので、庭植えに最適。繊細でつぼみの様な花と、ガクとのバランスが、和風の庭園に非常に似合う品種の紫陽花です。

アナベル

北アメリカを原産とする学名ハイドランジア・アルボレスケンスが改良されてできた品種。極寒地などでも庭植えができ、育て方が簡単な品種としても非常に重宝されるハイドランジアです。房状の花が密集して20㎝以上もの大きさに成長し、大変見ごたえがあります。 春に伸びてくる新枝に花を咲かせる特性がある為、花後に剪定を自由自在にでき、冬まで強剪定を続けても問題がありません。生け花やアレンジメントにも良く活用される品種。

タマアジサイ

本州の福島県以南から中部地方に自生する品種。山地の谷川沿いによく見られ、高さ平均1.5mから大きいものは2m近くにまで成長します。玉のようなつぼみをつけることから、この名前が由来しています。 ハイドランジアの中でも、非常に変わった品種のタマアジサイは、装飾花と両性花を咲かせ、両方が包まれた状態で花芽が上がることが特徴。つぼみの状態のタマアジサイは、シャクヤクの様な様相で、ほかのハイドランジア属とはまったく異なる風貌を見せます。 また開花時期も、8月~9月と平均的なハイドランジア属に比べて、遅いことが特徴。この品種の花には、あまり濃い色がなく、白や薄い青・紫色などが一般的です。

エンドレスサマー

ハイドランジア属の中で、2度咲きをする品種。アメリカで品種改良されて、初夏と秋の2回花を咲かせることができます。このエンドレスサマーもアナベル同様に、新芽咲の品種で、剪定次第で株と花が大きく育ちます。 エンドレスサマーは生育が非常に速いため、苗を植えてから1年で花が咲きます。剪定時期も年中いつでも可能で、生育が旺盛な為、大きくなりすぎるのを防ぐために、まめに剪定をしても構いません。

ハイドランジアの原産地

ハイドランジアの原産地は日本。日本鎖国の時代にオランダ人と偽って出島に滞在し、医療と博物学的研究に従事をしたドイツの医師・博物学者のシーボルトがオランダに帰還した後に「日本植物誌」という書物を書き残しています。 その中に14種類のアジサイ属の新種記載があり、花序が装飾花になる品種のアジサイをHydrangea otaksa Siebold et Zuccarini(ハイドランジア・オタクサ・シーボルト エト ズッカリーニ)と命名しました。

ハイドランジアの命名にまつわる誤解

学名と言われたハイドランジア・オタクサにはあるインシデンスによって広まります。シーボルトがハイドランジアを命名する以前に、実はカール・ツンベルクによって、ハイドランジアはHydrangea macrophyllaを植物学上の名前として、登録をされていました。 ところが、日本の植物学者「植物の父」と呼ばれていた牧野富太郎が、自署の植物名鑑に学名をHydrangea macrophylla Seringe var. otaksa Makinoとし、種の記載者をツンベルク、変種の記載者を牧野富太郎とし、事実とは全く異なる情報を記載したことから、一部の植物書にもハイドランジア・オタクサが学名上の有効名のように誤解されたのでした。

ハイドランジア命名にまつわるロマンス

シーボルトが自署のなかで、オタクサと命名した経緯を、日本でアジサイの事をこう呼ぶ、と説明しています。当時牧野は日本国内でこういわれている事実がないことから、シーボルトの妻の名前楠本滝(お滝さん)をとって、花の名前に潜ませたものと推測して、植物書にも由来を記載しています。 また自らも新種の笹に自信の妻の名前スエコをとり、「スヱコ笹」と名付けたのでした。このことから、当時はシーボルトとお滝さんのロマンスを詩に詠むことが盛んにおこなわれ、詩の中に「オタクサ」を読み込むことが流行するのでした。

ハイドランジアの開花時期


ハイドランジアの開花時期は6月から9月。初夏や梅雨の風物詩として鑑賞用に、庭や公園でも見かけることができます。背丈は1m~2mに成長し、ほとんどの花は青・紫・ピンク・白などなどの装飾花をつけ、咲はじめから終わりまでに、花の色が次第に変化することから「七変化」とも呼ばれています。

ハイドランジアの育て方

ハイドランジアは基本的に育て方が簡単な植物です。基本的なポイントを抑えて育てることによって、より長くゴージャスで美しいハイドランジアの花を楽しむことが出来ます。いくつかのポイントとコツを押さえて、ご家庭で誰でも楽しめるハイドランジアの育て方をご紹介します。

植え方のポイント

アジサイは日陰を好むイメージがありますが、日当たりの良い場所に植えることで、花付きが良くなります。しかし非常に丈夫な植物ですので、北側の狭い庭などでも通気さえよければ十分育ちます。ブロックや壁の目隠し、ほかの樹の根じめ、寄せ植えなどにもとても重宝する植物です。植え方の方法をご紹介します。

鉢植え

・苗ポットを購入したら、苗ポットよりも一回り以上のサイズの鉢を準備 ・鉢の底に、軽石や鉢底石を敷いて、鉢の半分くらいまで土を入れる ・苗ポットから、苗を取り出し、軽く根をほぐしておく ・苗を鉢の中心に置き、周りに土をかぶせたら軽く押さえ苗を安定させる ・たっぷりと水やりをする

庭植え

・庭に苗を植える最低1ヶ月前には、土作りを済ませておく ・苗よりも一回り大きな穴を掘る ・苗を植えて、土を周りに入れる ・水やりをして、周りの土を軽く固めて、株を固定

用土の作り方ポイント

ハイドランジアの育て方で、特に特徴的なのが土作りです。ハイドランジアの花は、土の酸性度が強くなることで、花が青くなり、アルカリ性が強くなると、赤が強くなる特性があります。ちょっとしたテクニックを活用して、色鮮やかなハイドランジアの花を楽しみましょう

青色を強調する土作り

ハイドランジアの花の青色を鮮やかに出す為には、用土を酸性に作る必要があります。アルミニウムを多く吸収させ、アントシアニンと強く結合することで、花の青色が強調されます。 酸性土には、培養土とピートモスを使用します。赤玉土(中粒)5:腐葉土4:ピートモス1の割合で配合します。また庭植えをはじめてする際は、庭土5:腐葉土3:ピートモス2の割合で、苗を植える3週間から1ヶ月まえに土作りをして寝かせておきます。 バーミキュライトを使用する場合は、赤玉土4:ピートモス4:バーミキュライト2で配合します。

赤色を強調する土作り

ハイドランジアの花の赤色を強調させたい場合は、用土をアルカリ性にします。科学的作用としては、アルミニウムの吸収を抑え、青が発色するのを抑えるため、結果的に赤が強調されるという仕組みになるわけです。 赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で土を配合したら、苦土石灰を軽くひと握り土に加えて、2週間ほど寝かせておきます。バーミキュライトを使用する場合は、赤玉土4:腐葉土4:バーミキュライト2の割合で配合します。

ハイドランジアの水やり

ハイドランジアの水やりは、こまめにたっぷりと与えてあげることが大切です。ハイドランジアは非常に乾燥を嫌います。鉢植えの場合は特に乾燥しやすくなりますので、土の表面が乾いたら、鉢の底から水が流れるほどたっぷりと水やりをしましょう。 特に夏の暑い時期には、朝と夜必ず土の様子をチェックします。庭植えの場合は、水やりは基本的には不要ですが、特に日照りがつづいた夏季には、水やりをします。乾燥しがちな土壌に腐葉土やワラをかぶせて、水分が逃げるのを防ぐ事で、保湿が保たれますので、水やりを必要以上にしなくて済みます。


ハイドランジアの植え替え

ハイドランジアの植え替えは、花が咲き終わった後に行います。7月下旬から9月に、現在の苗よりも一回り大きい鉢を用意して、植え替えます。ハイドランジアは成長が非常に速いので、根つまりを起こしやすくなります。1~2年に一度は植え替えをしましょう。 庭植えの場合、植え替えは特に必要はありませんが、土の質を変えるために株を植え替える場合は、休眠期にあたる11月~3月ごろが適しています。植え替えの時に根を傷つけないように十分気をつけて、株を掘り上げ、軽く根をもみほぐして植え替えをします。

ハイドランジアの剪定

庭植えのハイドランジアなどは、成長することで邪魔にならなければ、基本的に剪定の必要はありません。樹形や高さを調節する必然性のある鉢植えは、剪定を行います。基本的に、ハイドランジアの剪定は時期が2度あります。1回目は花が咲き終わった後の剪定。2回目は、冬の休眠時期の剪定です。

花後の剪定

花付きを良くするために、7月上旬から9月にかけて、花柄摘みをするのと同時に剪定を行います。方法は、今年伸びた新梢の芽の部分を3~5節くらい残して剪定。(花が咲き終わったあとの茎に残った葉2枚か4枚を落とす感じ)この後、秋にもう一度、剪定後に伸びてきた茎を切り落とします。挿し木をする場合は、この時期に同時に行います。

冬の剪定

冬の休眠時期の剪定は、枯れた株や枝を切り落として、株全体の風通しを良くするために行います。ハイドランジアの葉がすべて落ちてしまったら、枯れている枝や、込み合った枝を見極めて根元で切り取ります。落葉期の株の見分け方が難しい場合は、新芽が出始める3月ころに剪定をしても構いません。

ハイドランジアの増やし方

ハイドランジアの増やし方は2つの方法があります。挿し木で増やす方法と株分けです。挿し木は早く成長しますし、失敗も少ないため、初心者にお勧め。株分けはハイドランジアの花を増やすだけでなく、大きくなりすぎた株を間引きして、バランスを整えたり、場所をとりすぎた株を無駄なく分割することができるメリットがあります。ハイドランジアを挿し木で増やす場合と、株分けで増やす場合の方法をご紹介します。

挿し木で増やす

ハイドランジアを挿し木は、花が終わった7月ごろが適切です。夏を超えるまでに挿し木を行うことで、株に花がつきやすくなります。 ・茎を15㎝~20㎝切り取る(花芽のついていない部分) ・切り口を水に2,3時間から半日つけておく ・苗に使った同じ土を準備して、鉢や庭に寝かせておく ・枝が刺さるくらいの穴をあけ挿し木をし、土をかぶせ、水やりをする ・半日陰になる状態の場所で約1ヶ月管理 ・初根を確認したら、一回り大きい鉢に植え替えするか、庭植えをする 挿し木用に適した用土は、水はけがよくて肥料成分のないものです。肥料分があることで挿し木自体が発根するまでに、腐ってしまう場合があります。挿し木用の用土に適するのは、赤玉土・鹿沼土・川砂・パーライト・バーミキュライトで、単体で使用することが出来ます。根が張りやすくするために小粒の物が挿し木にはおすすめ。

株分けで増やす

植え替えの適期に合わせて株分けをします ・株にある花がすべて咲き終わったら、株ごと掘り上げる ・手で根っこについた土をはらい、手で株を分ける ・苗を植えた同じ土に植え替え、水やりをする

ハイドランジアの管理

直射日光を避けて、薄日のかかる程度の半日陰の環境で管理することが理想的。ただ、種類によっては日光を好む種類もある為、乾燥に十分注意をして水やりをすれば、基本的に日当たりの良い場所でも構いません。特に花付きを良くするには、日当たりの良い場所が最適。

肥料の与え方


ハイドランジアの育て方でポイントになるのは、花に与える栄養素です。肥料を適度に何度か与えることで花が元気よく咲きます。特に苗の植え付けや植え替えの時には必ず肥料を与えます。肥料は長くじっくりと効き目のある緩効性肥料がお勧め。鉢植えも地植えの場合も、苗を植える時の3月~4月のタイミング、花が咲き終わった後の8月~9月、冬の休眠時期の12月~2月のそれぞれに1度づつ与えます。

注意すべき病気・害虫

斑点病

多湿が続き、細菌が繁殖しやすい環境になると、斑点病を発症しますので、病原菌が好む高温多湿な環境を作らないように気をつけます。この病気に顕著に表れる症状として、葉の奇形・斑点・水孔周辺の褐変など多様にわたります。ポリカーバーメート剤600倍液を9月~11月に3回ほど散布することで、被害を軽減、予防できます。

炭そ病

葉に斑点が出来る炭そ病には、GFベンレート水和剤などで、予防と治療が可能。またカミキリムシは幼虫が根っこを食い荒らし、葉や株を枯らせてしまいます。見つけたら穴を探して、殺虫剤で駆除します。

うどんこ病

うどんこ病とは、カビが葉っぱについて白くうどん粉のように見えることからこう呼ばれる病気。うどん粉カビ科の菌が土の中や、落ち葉の表面に付着しています。この菌がハイドランジアの葉につくと、そこから養分をすって、増殖していきます。初期段階であれば、酢を薄めたものか重曹水を吹き付けることで、改善します。予防としては風通しを良くすることが重要です。

コガネムシ

毛虫などは、植物の葉の周りから、食害を起こしますが、コガネムシは葉の真ん中から食害を起こす特徴があります。コガネムシの幼虫は一年を通して、地中で根っこを食い荒らします。見つけたらすぐに穴を探して、殺虫剤で駆除します。

ハイドランジアの育て方難易度

ハイドランジアの育て方は基本的に非常に簡単です。初心者でも簡単に始めることができ、失敗の少ない植物です。注意したいポイントは、乾燥をさせないための水やり。耐寒性にも耐暑性にも優れているほか、成長が非常に旺盛で、気候の変化にも非常に強い植物です。

まとめ

ハイドランジアは庭に植えると大変映える植物です。近年では開花の時期と重なって、母の日にもフラワーアレンジメントとして贈られるのがブームになっている非常に人気の花です。初心者でも簡単に育てることができ、毎年美しい花を咲かせてくれますので、皆さんも是非ハイドランジアの栽培を楽しんでください。