タイムの育て方をご紹介
人気のハーブを育ててみよう
タイムは料理に幅広く使えるハーブです。 ハーブというと、一般に緑を茂らせるばかりで観賞の楽しみは少ないものと思われがちですが、タイムは5~6月に白やピンクの花を咲かせるのが特徴。 観賞して楽しく、使って便利な、まさに一石二鳥のハーブなのです。 あなたもタイムを育ててみませんか? 基本的な栽培のコツはもちろん、種まき・増やし方など、収穫やその後の利用方法までご紹介します!
タイム基礎知識! 「コモンタイム」って?
コモンタイムとは
コモンタイムとは、もっとも一般的なタイムの種類です。
料理にも、安心して使えるコモンタイム
肉料理、煮込み料理に使われているコモンタイム。 ハーブを料理に使いたいと考えているなら、安心して使うこともできる種類です。
コモンタイムから派生した品種が多い
タイムは品種改良の過程で、たくさんの種類が作られてきました。 中でも、コモンタイムをベースに作られた品種は多いのです。 このことからも、コモンタイムがいかにメジャーで、基盤となる存在かが伺えます。
育て方1.タイムと育てる時期
1-1、育て始める時期
種まきをするなら、タイミングは年に2度あります。9月~10月の秋まきか、3月~4月の春まきです。 夏の蒸れに弱いので、暑い季節が来る前には大きく育て、植え付けを終わらせるようにします。 苗を購入してくる場合も、夏に差しかかってきてからの栽培はおすすめしません。
1-2、日本では初夏までに収穫する
タイムは宿根草で、1年では枯れません。葉がある季節であれば、いつでも収穫することができます。 が、日本では一般的に、初夏までには葉を刈り込むようにして収穫を終えるのが無難です。 上記した通り、タイムは暑い季節に弱い植物です。夏の蒸れを避けるためにも、剪定を兼ねて、暑く前にスッキリ収穫してしまうのがおすすめですよ。
育て方2.タイムを育てるのに合った場所は?
2-1、日当たり
日当たりのよい場所を好みます。 室内でも、太陽の光が届く明るい場所であれば栽培可能。画像のように、他のハーブ類と一緒に育てても良いですね。 強い太陽光は必要なく、日陰でもわりと元気に育ってくれる植物です。ただし、乾燥を好み湿気を嫌う性質があるため、ジメジメした場所は絶対に避けましょう。 日当たりの良いキッチンがあるなら、ぜひキッチンに置いて、料理のちょっとしたトッピングや香り付けにササッと収穫できるようにすると便利です!
2-2、水はけのよい、乾燥気味の場所で育てる
タイムを育てるなら、とにかく注意したいのが湿気です。 必ず水はけのよい土・場所で育ててください。 地植えするなら、お庭の中でも乾燥しやすい場所がおすすめです。 室内で鉢植えにする場合、画像のように水受け皿を用意します。 鉢は底に穴が大きく(もしくはたくさん)空いたものを使い、水やりをしたとき水受け皿へ水分が流れ出るようにしてください。 鉢の中に湿気がこもると枯れます。
2-3、風通しの良さも重要
湿気を避けるためには、風通しの良い場所を選ぶのも大事。 意外と見落としやすいポイントなので注意しましょう。
育て方3.種まきと植え付け
3-1、種まきの方法
9月~10月か4月頃に、ポットや容器にバーミキュライトを入れて種まきしましょう。 種まきをするときは、あらかじめ土と種を混ぜておき、それを育苗ポットにサラサラとまくと楽です。種まき後は、発芽するまで乾かさないように水やりします。
3-2、苗の植え付け
草丈が10㎝以上になったら、苗を鉢や花壇に植え付けましょう。 他の植物と一緒に寄せ植えにしても可愛いですし、小さな鉢に植えても楽しめます。 植え付けるときの土は、砂混じりの水はけがよいものを選びます。 ややアルカリ性の土壌を好む性質があるので、石灰をあらかじめ土に混ぜ込んでおくと安心でしょう(石灰は土壌をアルカリ性に傾けてくれます)。
3-3、苗の選び方
種まきから育てるのではなく、苗を買ってきて植えつけるのももちろんアリです。 下の葉が黄色くなっている苗や、内側が枯れている苗を避けて選びましょう。
育て方4.水やりと肥料
4-1、水やり
苗を植えつけてから根付くまでの間は、土を乾かさないように水やりします。 ただし、根付いてからは乾かし気味に管理しましょう。 やはり多湿になって蒸れてしまうのが一番怖いので、土の表面が完全に乾いてから水を与えます。 冬の時期はさらに水やりの量を減らし、土が乾いてから数日後の水やりでOKです。
4-2、肥料
やせた土でもよく育つハーブです。 あまり肥料は必要なく、肥料を与えすぎると香りが弱くなることも。 元肥を少し与えておき、あとは夏以外の時期、月に1度追肥をすれば充分でしょう。
育て方5.剪定
5-1、蒸れさせないために剪定する
蒸れに弱いのがタイムですから、枝同士が混み合ってきたら「剪定」を行いましょう。 剪定とは、不要な枝を切り取る作業のこと。 風通しを良くしたり、見た目を整えたりする役割を持ちます。
5-2、剪定の時期
春の終わり、梅雨が始まる前に剪定を行うのがおすすめ。 タイムのようなハーブ類の場合、剪定した枝は料理やリラクゼーションにそのまま使うことができるので、収穫を兼ねていると言えるでしょう。捨てずに活用して楽しみます。 また、2~3月も剪定に適した時期です。 この季節に剪定を行うことで、春には新しい芽が出てきます。
5-3、剪定の方法
タイムは生育が旺盛で、芽吹く力が比較的強い植物です。 剪定をするときは、根元から剪定ばさみで枝ごと切り取りましょう。どんどん剪定してしまっても、新しい芽がつくので大丈夫です。 特に、冬場は強めに刈り込みます。少しだけ葉を残しておけば充分です。
育て方6.増やし方
6-1、挿し木で増やす
タイムは挿し木で増やすことができます。 挿し木とは、植物の枝の一部を切り取り、切り口から発根させて土に定着させる増やし方のことです。
6-2、増やし方①挿し木の時期
タイムの挿し木を行うなら、時期は5~6月が適切です。 時期をしっかり押さえておけば、発根しやすくなります。
6-3、増やし方②挿し木の方法
枝を5、6㎝切り取り、下のほうの葉が土につかないように取り除きます。 しばらく切り口を水に浸け、吸水させたら、あとはバーミキュライトと腐葉土を混ぜた土に挿し、発根するのを待つだけ。 挿し木というと、難しく感じられるかもしれませんが、複雑な手順は特に必要ない手軽な増やし方です。ぜひ挑戦してみましょう!
育て方7.タイムのトラブル
7-1、タイムが枯れる!?
タイムは丈夫なハーブですが、コツを押さえた育て方をしないと、枯れることもあります。
7-2、考えられる原因と対処法
・水のやりすぎ ・暑さ この2つがおもな枯れる原因でしょう。 タイムは、ある程度株が大きくなってきたら、水の量を少なくすることが重要です。特に冬場の水やりは控え、乾かし気味に管理します。 夏場の暑さが心配な場合、鉢を二重にするのも効果的です。 コンクリートのような、熱がこもりやすい場所には置かないようにしましょう。
育て方8.収穫
8-1、花が咲く前の収穫がおすすめ
葉さえあればいつでも収穫を行えますが、花が咲く前に楽しむのがおすすめです。 花が咲くと、香りが落ちるので、早く収穫してしまったほうが料理やお茶として楽しみやすいのです。 ただ、タイムは花もあざやかで綺麗なので、庭の彩りとしてあえて収穫せず放置するのも良いでしょう。
収穫したタイムの楽しみ方
料理に加える
ヨーロッパの料理には欠かせないタイム。 防腐効果も高く、肉の詰め物料理、魚料理ではおなじみの存在です。 フルーツ類との相性も良いです。 ぜひ海外風の料理に添えてみましょう!
お風呂に入れる
古代ギリシャの戦士たちは、タイムを入れたお風呂で疲れを癒やしたと言われています。 それにならって、タイムのバスタイムを楽しんでみるのもあり!? ハーブの香りでゆっくりリラックスしましょう。「入れるだけ」なので、とっても簡単です。
ハーブティーを作る
ハーブティーにして飲んでもおいしいタイム。 ほかのハーブとブレンドして、自分だけのオリジナルな味わいを楽しみましょう。 フレッシュハーブティーなら、お湯と一緒に蒸らすだけなので簡単です。 最初はちょっとクセのある「原っぱの味」に感じられるかもしれませんが、ハチミツを加えたり、ジャムを入れてみたり、自分なりのアレンジをすればおいしく飲めますよ。
他のハーブも育てれば、楽しみが広がる
フレッシュハーブティーを作るときにも、料理を作るときににも、ほかのハーブがあればさらに活用の幅が広がります。 ぜひ、一緒に育ててみてください。 簡単で育てやすいのは、ミントやバジルです。 ローズマリーとは飾ったときの見た目の相性がよく、インテリアとしても楽しめます。 ハーブをたくさん育てて収穫しきれないときは、乾燥保存してしまえばOK!
タイムは種類が豊富
小立ち性とほふく性
タイムには木立状に育つ品種と、地面を這ってほふく状に育つ品種の2種類があります。 ガーデンスペースによって植え分けてみましょう。敷石の間にも植えやすいのはほふく性のタイプですが、キッチンで育てるなら木立状のタイプが管理しやすいですよ。
品種1.コモンタイム
タイムの基本品種が、このコモンタイム。 木立状のタイプです。
品種2.レモンタイム
葉にレモンのさわやかな香りがある、交雑種。 肉料理の香り付けとして、料理で活躍します。
品種3.ラベンダータイム
ほふく性のタイムです。 緑色の葉はくっきりと発色し、観賞用としても美しいのがポイント。
品種4.オレンジスパイスタイム
甘い柑橘系の香りがするタイム。 葉は尖っており、ローズマリーに似た見た目です。
品種5.クリーピングタイム
ほふく性の品種です。 タイムの中ではわりとメジャーな存在。 コモンタイムより香りは弱いですが、ピンクの花が咲く種類(レッドクリーピングタイムともいう)を植えれば、ツツジのように濃い色が華やかに庭を彩ってくれます。白い花を咲かせる種類もあります。
品種6.ゴールデンレモンタイム
レモンタイムの兄弟のような存在。 黄色い斑が入っているのが特徴的な、園芸品種です。
品種7.シルバータイム
その名の通り、銀色の斑入りの葉をつけます。 ラベンダーのような色をした花が咲き、香りはやわらかめ。
品種8.キャラウェイタイム
ほふく性の品種です。ピンクの花が咲きます。 香りがキャラウェイに似ていることから、こんな風に呼ばれています。
品種9.ピザタイム
葉が大きく、タイムの中でも丸っこい印象。 鮮明なピンクの花を咲かせます。木立状です。
品種10.ウーリータイム
ほふく性。 細かい毛に包まれているのが特徴的なタイムです。
迷ったときは、コモンタイムがおすすめ
入門しやすいコモンタイム
どんな品種を育てたら良いか分らない人や、品種へのこだわりが特にない人は、まずコモンタイムから育て始めるのがおすすめ。
普通のタイム=コモンタイム!
「タイム」として特に品種名の表記がなく出回っているタイムは、コモンタイムだと考えてしまって良いでしょう。それほど代表的な種類です。
バラエティー豊かなタイムを育てよう
使いやすく、花が咲き、何かと便利なハーブ
タイムはラベンダー、ミント、バジルといったハーブに比べると、まだ知名度は劣ります。 でも、育てやすいだけでなく、料理にも使いやすく、しかも花が咲く美しいハーブなのです。ひと株育てておけば、さらにハーブ生活の幅が広がること間違いなし! 飾っても美しく、香りもすっきり。葉の形がキレイなので、束ねて吊るせばすてきなインテリアにもなりますよ! タイムを上手に育てて、たくさん活用しちゃいましょう!