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ビオトープの作り方!小さな自然を自分でアレンジ!そのコツと方法を解説!

わたしだけの小さな自然が作れてしまうビオトープは、手軽に水生植物を楽しめると話題です。今回は初心者でも取り組みやすいビオトープの作り方とアレンジを紹介します。 ぜひ基本の作り方を覚えて、いろいろな種類の生き物や植物を楽しんで下さいね。
2020年8月27日
m.miura
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ビオトープは自分で作れるちいさな自然

自然共生を目的にビオトープの取り組みが盛んになっています。 大きな公共事業だけでなく、会社の屋上を使ったビオトープ、地域や学校の学習のために作ることもあります。 ビオトープの作り方はシンプルですが、奥深い生態系を見せてくれ、ガーデニングとしても親しまれるようになりました。 ぜひビオトープの作り方を知って、一緒にちいさな自然を楽しみませんか?

ビオトープとは?基本情報をおさらい

ビオトープは政府が行っている公共事業から、家庭で楽しむ小さな趣味まで様々な規模があります。 共通してしているのは「生態系を造る」ことです。

ドイツ生まれの考え方

ビオトープはドイツで生まれた考え方で、bio(命)+topos(場所)というギリシャ語が語源です。 1970年代のドイツでは、身近にある自然環境の保全が重要だと認識されていました。多様な自然の生物を復活させることによって、本来の浄化・修復力を積極的に活用しよう、という取り組みです。

日本での考え方

日本では1990年代にビオトープの名を冠した環境改善事業が行われるようになりました。 特に護岸工事における水質汚濁は深刻で、水質の悪化による汚泥や異臭、アオコの大繁殖による毒性物質が生成などしました。 そういった反省から環境共生は必要であり、現在の公共事業ではビオトープが重要な位置づけになっています。

ビオトープの作り方は簡単!

環境共生、生態系・・・と難しい言葉が出てきましたが、ビオトープの作り方自体は簡単です。 ①水鉢に土を入れる ②好きな種類の植物を植える ③水を注ぐ ④好きな種類の魚を入れる ⑤楽しむ これから具体的な作り方を紹介しますので、ぜひ作ってみましょう!

ビオトープの作り方①土を入れる

まず水鉢を用意しましょう

ビオトープの作り方はまず、睡蓮鉢のような水鉢を用意して土を入れます。使用する水鉢には決まり事はなく、穴が空いたりしていなければ大きめのペットボトル容器でも構わないほどです。 重厚感があり、色や形も様々な陶器製ももちろん良いですが、発泡スチロールの保冷ケースやコンクリートをこねるトロ舟でも作れます。

土の選び方

ビオトープに使用される土には「赤玉土」「荒木田土」「砂利」などたくさんの種類があります。最近ではビオトープ専用の土も販売されています。 粘土質の土が浮き上がるのが気になるのなら、上から砂利を敷いたり、複数の土を使うといった作り方もできます。 また植える植物によっては肥料分を必要とするものもあるので、植物の特性も考えることが大切です。

初心者には「砂利」がおすすめ

初心者におすすめしたいのは「砂利」や「小石」です。土が舞い上がることなく澄んだ水のまま楽しめます。 ウォーターポピーなどの浮葉水草や、多くの肥料を必要としないホテイアオイなど楽しめる植物もたくさんあります。 ビオトープの注意点のひとつが「アオコ」を発生させないことがあります。アオコは水中の栄養分が過剰になりすぎると発生しやすい、人体にも有害な藻です。 砂利を使うと栄養過剰状態の対策にもなります。

自然に近い状態を楽しみたいなら「荒木田土」

ビオトープ愛好家に最近人気なのは「荒木田土(あらきだつち)」です。 荒木田土は田んぼに使用されている粘土質の土で、中には植物のタネ、虫の卵、たくさんの微生物を含んでいます。 そのためいつの間にか水中生物が発生したり、水草が生えていたり、自然そのままの偶然を楽しむことができます。


ビオトープの作り方②水生植物を入れる

水生植物の選び方

水草や水辺に住む植物は、生息域もいろいろです。完全に水中に浸かっていないといけないミズオバコ、水気があれば育つカキツバタ、根は水中の土のなかで葉や花は水上にあるスイレンなどです。 水鉢の大きさや植物の種類に合わせて、環境を用意できるかで選びましょう。

おすすめはホテイアオイ

ホテイアオイは水鉢の大きさや場所を選ばずに育てられるため、ビオトープ初心者におすすめの植物です。 とにかく頑強な浮遊性植物で、ころんとした丸い浮き袋で水面を漂っています。7月から10月ごとになると美しい青い花をつけます。別名ウォーターヒヤシンスとも呼ばれています。 肥料が多いと爆発的に増えるため、控えめに管理しましょう。

ビオトープの作り方③生体を入れる

生体の選び方

ビオトープによく利用されるのはメダカやフナが多いです。その他にもドジョウやタニシ、エビやカメなどたくさんの種類があります。 選ぶポイントは一緒のビオトープ内で仲良く共存できるか、です。 たとえば雑食性のドジョウは体格も大きく、メダカやミナミヌマエビなどの生物を食べてしまうことがあります。 もちろん食物連鎖は自然界では当たり前です。 ビオトープでそれを再現しようと思ったら、ビオトープの広さが十分であること、メダカやエビが繁殖し隠れられる場所が確保できていること、など条件が厳しくなります。

初心者に育てやすいのは「メダカ」

ビオトープ初心者にも育てやすく手に入りやすい、最もポピュラーなのが「メダカ」です。 観賞用として人気のある「ヒメダカ」や日本に昔からいる「黒メダカ」など様々な種類があります。 産卵できる場所や隠れ家などをきちんと造り、生育環境を整えてあげるとよく繁殖します。

ビオトープ作り方のコツを紹介

初心者でも取り組みやすいビオトープ作り方のコツを紹介します。ちょっとの手間でできますのでぜひ取り入れて下さい。 後から手を加えやすくなったり、生き物が飼育しやすくなったりしますのでおすすめですよ。

作り方のコツ①小さめの鉢にあらかじめ植えておく

植物の種類によっては、大きく根が張り後からの手入れが億劫になるものもあります。スイレンやカキツバタなどがその代表例です。根が大きく張る植物を植えるときのコツは「あらかじめ小さめの鉢に植えておく」と便利ですよ。 こうすると水鉢内のレイアウトを考えるとき、配置換えが簡単に行えます。またビオトープに後から手を入れるときも容易になります。

作り方のコツ②生き物の隠れ家をつくってあげる

ビオトープは一つのちいさな生態系ですから、そこに住む魚やエビなどが安心して暮らせる場所が必要です。 たとえばメダカなどが外敵から身を隠す場所、産卵できる場所などです。 浮き草を入れると産卵床、隠れ家にもなるのでおすすめです。ホテイアオイは手間もいらず丈夫に育ちますのでおすすめです。

作り方のコツ③すぐにメダカを放流しないで

水を張ったらすぐにでも生き物を放したくなるかもしれませんが、ちょっとストップしましょう。 土の舞あがりが収まってから、水のカルキを抜くため、など理由はたくさんありますが、今回は「メダカの飼育に適した環境にするため」です。 ビオトープにメダカを放したとたんに水が濁った、という話はよくあります。特に作りたてのビオトープはまだ生態系が安定していません。メダカの排泄物を分解するバクテリアやエサとなるコケが十分に繁殖していないのです。 そのため自然のサイクルが整うまで、できれば3週間はそっとしておきます。

作り方のコツ④水質をキレイにしてくれる生き物をいれよう


ビオトープは特別な手入れをしなくても育つのが魅力ですが、環境を保つためにも「水をきれいにしてくれる生き物」をぜひ入れましょう。 人気があるのはミナミヌマエビで昔から日本の川や池に生息しています。日本の気候や水温の変化にも強く、生態系が安定すれば容易に繁殖します。 コケや生物の死骸を食べてくれるので水質をキレイにしてくれ、えさやりの必要もありません。

ビオトープのメンテナンス

ここからはビオトープのメンテナンス方法と注意点をお伝えしていきます。

エサは少なめに

ビオトープの生態系を維持していくのに重要な注意点のひとつは、エサをやり過ぎないことです。 たくさんエサをやり過ぎると残ったエサが腐敗し、水質が悪くなる原因になるためです。生態系のバランスを崩すため与えるエサは少なめにしましょう。とくにビオトープ設置の初期は注意が必要です。 本来、メダカやミナミヌマエビなどの生物は、水中にある微生物やコケを食べます。そのためビオトープの生態系がうまく循環してきたらエサやりをしなくとも維持できます。

水草が増えすぎたら除去をしよう

夏は水温も高くなり水草が旺盛に繁殖する季節です。そのため水草が水面全体を覆ってしまうことも珍しくありません。水草が繁茂しすぎると水中に日光が届かず、返って水質悪化の原因となってしまいます。 水草が増えてきたな、と感じたら適時トリミングを行いましょう。 また木陰になる場所や、すだれなどをかけてあげるなどの対策もしましょう。光合成が穏やかになり、生育が抑えられます。

ネコやカラスに注意

ビオトープはそれだけで完成されたものですから、特に手入れをしなくても繁殖し、食物連鎖によって食べられ、有機物は分解する、といったサイクルを繰り返します。 しかしときに厄介な客が現れて、その生態系を崩してしまうことがあります。 それがネコやカラスです。どうやら彼らは食べるために襲うのではなく、水を飲みにきて荒らしてしまうことが多いようです。 ただカラスは賢いのでメダカの味を覚えてしまうと、頻繁にやってくるようになります。 対策としてはすだれを立てて、鉢の周りをぐるっと覆ってしまったり、金網でフタをしたりするのが簡単です。

ビオトープ作りのトラブル①ビオトープの生き物がいなくなった!?

ビオトープをしていると、ドジョウやカメなど「脱走名人」やカラスやネコ捕食されて姿を消してしまう生き物もいます。また天候の変化で流れてしまったり、自然に近い環境では様々なトラブルが起きます。

ビオトープの脱走名人対策

ビオトープの脱走名人と有名なのが「カメ」です。ビオトープ初心者にも飼育が容易なミドリガメも、ちょっと目を離した隙に脱走してしまいます。 またドジョウはストレスを感じると、ジャンプして外に飛び出してしまうので、やはり対策は必要と言えます。 具体的な対策としては目の粗い金網を設置する、水位を低くするなどしましょう。

ビオトープ作りのトラブル②ビオトープが緑色に・・・

ビオトープを立ち上げてしばらくすると、なんだか水が緑色に・・・これはビオトープを作って最初の方によくあるトラブルです。透明感がある緑色の水ならば、魚の生育には良いのですが、濃い色をしていたら作り直しましょう。 緑色になった理由は「栄養が多すぎること」です。一部の植物を除いて、水草や魚は栄養は少なくていいのです。そのため栄養豊富なビオトープに、藻が大繁殖して緑色になっています。 放っておくと酸素が十分に行き渡らず腐敗し、異臭の原因にもなります。

浮き草を入れてみる

ホテイアオイに代表される浮き草は水中のチッ素分を吸収して成長しています。もともと日本の水質浄化のために導入された経緯もあるため、その効果は折り紙付きです。 ただ注意点として、多く入れすぎるとスイレンの花付きが悪くなります。定期的な間引きをしましょう。

土を最小限にしてみる

ビオトープの作り方を見ていくと、荒木田土を使用する人が多く見られます。荒木田土は自然に近いビオトープ作りによく使用されていますが、多くの栄養分を含みます。そのため藻が発生しやすい土ともいえます。 荒木田土のような栄養たっぷりの土の使用は最小限にします。たとえばスイレンの生育に必要な土は、別の鉢に入るだけでも十分ですよね。 水鉢の底の空いた部分には、代わりに砂利や砂などの床材を敷いておきます。


水をこまめに交換する

水を小まめに変えると段々と藻の増殖が抑えられ、透明度が増していくでしょう。 カルキ抜きした水を常に用意しておき、様子を見ながら交換します。注意点は、急激な温度変化を起こさないこと。目安は3分の1程度ずつです。

ビオトープの作り方例を紹介

ここからは具体的なビオトープの作り方例を紹介します。ぜひシンプルな作り方に一手間加えて、あなただけのビオトープにしてください。

作り方例①流木を使ってみる

大きめの流木を水鉢から飛び出すくらいに配置すると、ビオトープの存在感がアップしますよ。簡単にちょっと本格的にも見えるのでおすすめのアレンジです。 ビオトープ内にヤゴがやって来たら、将来トンボが飛び立つ姿も見られるかもしれませんね。 注意点は、拾ってきた流木をそのまま使わないことです。病害菌がついている怖れがあるので、煮沸消毒など適切な処理をしてください。

作り方例②湯飲みなど生活雑貨を配置してみる

欠けてしまった小さな湯飲みなどを、そのままビオトープに入れるだけでできるアレンジです。 入れた湯飲みが魚の隠れ家になりますし、インテリア感覚で楽しめるので初心者におすすめの作り方です。

ビオトープで守って欲しい注意点

ビオトープを作っていると別の作り方を試してみたくなったり、残念ながら生態系がうまく安定せず作り直したり、試行錯誤が出てきます。 そんなときビオトープで使用する生き物や水草が余ってしまうときもあるでしょう。 そんなときに守って欲しい注意点があります。

ビオトープ外に生物を放流してはダメ

ビオトープで使用した水草、生き物を絶対に放流してはいけません。 たとえばホテイアオイは浸食性外来種として要注意生物のひとつです。不用意に川や池に放棄してしまうと、日本由来の植物を駆逐してしまう怖れがあります。 またメダカも同じです。誤った自然保護の意識からつい川に逃がしてしまいがちですが、メダカも放流してはいけない決まり事になっています。 メダカはその土地その土地で遺伝子が異なることが分かっています。不用意に放流することで、その土地のメダカを絶やしてしまうことが懸念されています。 生き物に責任を持つことは魚も植物も一緒です。

基本の作り方を知ってビオトープを楽しもう

ビオトープ初心者でも取り組みやすい作り方を紹介しました。 ビオトープは自分だけの生態系をつくることができます。自然の世界ですので思いがけないことも起ります。ヤゴがやって来てトンボが羽化したり、アメンボやタニシなどがいつの間にか住んでいることも。 ぜひビオトープの基本の作り方をマスターして、あなたのビオトープを楽しんでくださいね。