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イシガキダイの生態や基本情報まとめ【魚図鑑】

イシガキダイは日本の沿岸の磯場に生息する、石鯛と並んで「磯の王者」として君臨する肉食魚で、鋭く強い歯でウニやサザエやトコブシなどを砕いて食べる荒々しいく強い、釣りの世界では憧れの魚です。イシガキダイの生態、釣り方、シガテラ毒の情報等を詳細にご紹介します。
2020年8月27日
adanokinawa83
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イシガキダイの分類

スズキ目、スズキ亜目、イシダイ科、イシダイ属

イシガキダイはイシダイ属に属し、世界ではイシダイ属の種は7種が熱帯、亜熱帯に生息しており、日本国内ではイシダイ、本種のイシガキダイの2種です。

イシガキダイの外国名

Spotted knifejaw

英名では「Spotted knifejaw」スポッテッド、ナイフジョーと命名されています。「スポッテッド」はイシガキダイの幼魚は斑点模様が体表に顕著に点在し、豹柄の様です。「ナイフジョ―」とはナイフのような顎ですので、イシガキダイの鋭い口元を指しています。ちなみに近縁種のイシダイは「Barred knifejaw」ブラッド、ナイフジョーで縞模様のナイフのような顎の魚です。

イシガキダイの学名

Scientific Name

学名は「Oplegnathus punctatus 」です。ギリシャ語の名称で、Oplegnathusは蹄のようなという意味で、これは丈夫で巨大な口と歯を指しています。punctatusは斑点があるという意味です。 命名者はTemminck(オランダの動物学者) Schlegel(ドイツの動物学者)にて1884年に名称されています。

イシガキダイの名前の由来

石垣鯛 (漢字、和名)

イシガキダイは模様が石垣に似ている所から由来されたといわれます。沖縄県の最南端の海域の中心地、石垣島でもイシガキダイは生息し、良く狙われる釣りのターゲットですがこちらの「イシガキ」とは関係が無いようです。沖縄では「ガラサーミーバイ」と呼ばれます。ミーバイは通常ハタ科の魚ですが不思議ですね。

イシガキダイの分布

温帯から熱帯域に広く分布

イシガキダイは太平洋沿岸では東北から南の海域、日本海側では北陸沿岸より南の日本全国の海域で生息が確認され、温暖な海域では大物の釣果が報告されます。日本の最南端の唯一の熱帯域の沖ノ鳥島でも本種の生息が確認されています。

イシガキダイの生息域

イシガキダイの生息場所

水深3m~135mの海域で生息確認がされています。藻場がある磯の沿岸付近から南洋のサンゴの海域までを生息場所とし、環境適応能力が高い事が伺えます。成体は底生生活をおくり、岩穴などに好んで棲む性質があります。捕食活動で広範囲に行動し、100mの海域からサラシが崩れる浅場にも顔を頻繁に出します。

イシガキダイの形態

イシガキダイの大きさ、模様、特徴

イシガキダイは少し前まではイシダイに劣る魚として釣りの世界では扱われていました。しかし、高知県で80㎝オーバーの大物が釣れ、その大きさは日本記録のイシダイより大きく、底物師と呼ばれるイシダイを狙う釣り師の間で衝撃が走りました。以来、イシガキダイはイシダイと並ぶ怪魚として底物師のターゲットとなり、最大サイズは79㎝×10.8kgです。体形は側偏した丸い形で、マダイに比較すると角ばって寸動に見えます。マダイとの相違点は尾びれ、尻びれが明らかに大きく、口が異常に発達する点です。老齢魚ではオウムの様に立派な口になり固いものを砕くごとに成長します。模様は若魚は豹柄ですが、老齢魚は頭部が白化し、模様も消え「クチジロ」と呼ばれます。


イシガキダイの生態

イシガキダイの食性

イシガキダイの食性は甲殻類、貝類、ウニなどの底生生物(ベントス)を捕食する肉食魚です。幼魚はイソメやエビや小魚を捕食します。養殖の飼育下では何でも食べて餌付けに困らないといわれています。釣りでは自然化の大物を狙う為、ウニ、イセエビ、トコブシ、サザエなどを付け釣果がある事からお金のかかる釣りとして有名です。寿司や料亭の金持ちのお父さんと食性が一緒ですね。

イシガキダイの産卵

春に産卵するイシガキダイは、普段は単独行動していますが、産卵時は群れで適正な温度と、波静かな海域に群れで移動します。和歌山県のダイバーが50匹ほどのイシガキダイの産卵シーンを目撃していて、長崎県の5島列島付近ではイシガキダイの産卵を確認するツアーもあるといいます。春先に集団で産卵放精し、分離浮遊卵を時間を掛け、何度も放卵を行います。自然化ではイシダイとイシガキダイの交雑種が確認されますが、この個体はん色能力が無く残念です。

イシガキダイの生息環境

イシガキダイの生息環境

幼魚は浅い波静かな海域を好み、湾奥の漁港や、サーフ、稀に河口付近でも釣れる事があります。成魚は磯やサンゴ礁の海域の沿岸に生息し、底生生活で岩穴を住処として生息します。甲殻類を求め広く索餌行動をします。

イシガキダイの釣り情報

イシガキダイの釣りの概要

イシガキダイの釣りの概要を端的にご紹介します。 釣りの詳細情報を知りたい方は下記リンク、動画を御参照下さい。

イシガキダイの釣りポイント

イシガキダイの釣りのポイントは外洋の地磯、渡船で行く沖磯がポイントとなります。小型の物はよく釣れ、稀に成魚が外洋向けの防波堤でも釣果がある様ですが、サラシが出る沖磯の釣果が一番多く、確実です。

イシガキダイの釣れる時期

イシガキダイは季節に関係なく、年中狙える魚です。ただ、春先の産卵は成体は群れで大きく南下するので伊豆半島などの地磯では姿を消します。釣果情報をこまめに確認し釣行計画を立てる事をお勧めします。ですが逆に産卵で南下した、紀伊半島南部や伊豆諸島などで良型個体を狙う事で、釣果が望めます。

イシガキダイのタックル

イシガキダイは非常にパワフルな魚ですので、専門の竿を用意する事になります。イシダイ釣り用の5m前後のミディアムヘビーの竿を選び、リールは大型の両軸用リールを合わせます。道糸はナイロンの20号を150m巻いてセットします。

イシガキダイの仕掛け、エサ

仕掛けは底を取るぶっこみ釣りが多く、ぶっこみ釣りの仕掛けを紹介します。道糸から下にスイベルを付け、瀬ズレワイヤーを使いミツマタスイベルに接続します。ミツマタスイベルの外側にハリスを接続しイシダイバリを接続します。ミツマタスイベルの下部には、道糸とオモリをセットします。オモリは20~30号 ハリはイシダイバリの15号前後、ハリスと瀬ズレワイヤーはスチール製で瀬ズレワイヤーが38番、ハリスは36番前後を使用します。エサはウニ各種、サザエ、アカガイ、ヤドカリです。


イシガキダイの釣り方

潮通しの良い外洋向けの地磯か渡船で行く沖磯、いずれも実績があるポイントを選んで釣行します。場所によって足元に落とし込むか、遠投が必要となり、ぶっこみの場合何れも底を取って、底から餌が50㎝か底スレスレにセットします。アタリは繊細で、大きなアタリが来るまで置き竿で待ち、竿先が海に持っていかれたら大きく合わせます。取り込みは根や穴に潜られない様にドラグを適度に締めて、慎重にやり取りします。引きがとても強烈なので必ず釣り竿を岸とワイヤーで接続し、魚に持っていかれない様に措置します。

イシガキダイの釣りの動画情報

釣り人の夢・幻の魚クチジロを追う

釣りビジョンのイシガキダイの釣行の動画です。亜熱帯の北限の屋久島の地磯での釣行で、元ボクシングのチャンピオンの斎藤さんがチャレンジしています。中型のイシガキダイの釣果ですがそれでも協力なファイトが印象的で、アワセも参考になる動画です。

口白釣り 種子島 黒瀬~大黒瀬

種子島の沖磯でのイシガキダイ(クチジロ)狙いの釣行です。アタリのアワセとヒットしてからのファイトが凄まじく見ものです06:30からのやり取りが強烈で見応え充分です。

日本の南端、東京から約南へ1500㎞の小笠原の母島でイシダイ、イシガキダイの釣行の動画です。老成後のクチジロの怪獣の様なイシガキダイは圧巻で、釣り人の憧れというのも大きく頷けます。

イシガキダイの味・選び方

イシガキダイの味

流通量の少ないイシガキダイですが、脂の乗りはマダイよりもよく、白身の高級魚として関西方面では昔から親しまれています。筋肉の発達したイシガキダイの身は、釣りたてでは固く、3枚に卸して、冷蔵庫で熟成させて、後日食べます。脂が身に浸透して、身自体が柔らかく甘みが強くて、高級魚としての味を堪能出来ます。シガテラ毒の事件の前は料亭や寿司屋で多く扱われていた、今では幻の高級魚です。

イシガキダイの選び方

関東ではあまり見かけないイシガキダイですが、関西では少ないながらもスーパーでも見かけます。小型のサイズで1匹物が多く、また美味しいサイズは30㎝前後なので、大きくても40㎝×2kg以下の物を選びます。これ以上の物はシガテラの危険もあり、無くても身が固くスジも多いので、上述のサイズで、活き締めをしっかり行っていて、肉付きが良く新鮮な物はお買い得です。

イシガキダイの栄養

イシガキダイの栄養素

イシガキダイは比較的脂の乗った魚で、その脂質は不飽和脂肪酸を多く含んでいます。その中の成分のDHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)が豊富で含ませています。その他はビタミンD,Eも豊富です。

イシガキダイの栄養素の効能

脂質の不飽和脂肪酸は血栓を防ぎアレルギーの抑制に効果があり、免疫力も強化します。DHAは脳細胞を活性化させる効果があり、記憶力の向上、アルツハイマーや痴呆症の予防効果があります。EPAは血液をさらされにする効果があり、脳卒中や心筋梗塞のリスクを軽減します。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、ビタミンEは細胞を活性化させる効果があり、アンチエイジング効果が認められ、期待出来ます。

イシガキダイの料理

イシガキダイの刺身


動画を確認し降ろし方を感覚的に覚えましょう。イシガキダイは小型の物でも脂がのり、お刺身では筋肉質のイシガキダイは身が固いので、薄造りで捌いて戴くと絶品です。同型のマダイより美味しいといわれます。

イシガキダイの鍋

イシガキダイの鍋は知る人ぞ知る美味しい鍋で、非常にしっかりとした骨格のイシガキダイの骨や頭から出る出汁は、ハタと同等の評価があるくらい上質で、濃厚な出汁の鍋が出来ます。

イシガキダイのにぎり

イシガキダイは筋肉質で身が固いので熟成させます。また寿司たねでは厚めのネタを使用しますので少し磯臭さが感じられ、好き嫌いが若干出ますが、昆布で締めると臭みが無くなり、昆布の旨みと調和し、寿司ネタでは高級店でしか見られない、上物として扱われます。

イシガキダイの毒

シガテラ毒

シガテラ毒とは熱帯や亜熱帯の海域のプランクトンの産生する毒素です。それを摂取する小魚に蓄積し、さらに小魚を摂取する魚の体内に蓄積します。この毒素は魚には影響がなく、魚の筋肉組織、内臓に蓄積していきます。食べた人間は中毒を起こし、大変な中毒症状で苦しみ、死亡例もあります。バラフエダイやイシガキダイも有名ですが、ブリやカンパチやヒラマサも感染するといわれ頭の痛い毒です。一説には2.6kg以内での毒の検出は無いとされていますが、参考程度に覚え、更なる防御策が急務と感じます。

イシガキダイでは

イシガキダイのシガテラ毒の中毒例は1999年の千葉の料亭のイシガキダイでの事件が顕著で、それ以「来料亭からイシガキダイが消えた!」と言われる程のインパクトの事件でした。大型のイシガキダイの刺身と兜焼きなどを食べた家族他9名が食中毒になり、その日のうちに9名全員が入院し、症状の差はあるものの、ひどい症状の方は数年に渡って苦しむ病状となり、この料理を出した料亭を相手取り、裁判を起こし、1200万円の賠償金をを勝ち取っています。それ程、シガテラ毒は恐ろしく、残念ながら、イシガキダイにも蓄積してしまっています。

イシガキダイの養殖

シガテラ毒の心配皆無の養殖

イシガキダイは、あまり知られてはいませんが、盛んに養殖を進めていて、やはり人気の魚なのです。マグロの養殖で有名な近畿大では、イシダイとイシガキダイの交配種を育ています。イシダイの繁殖力とイシガキダイの成長の良さ、交雑種の強さに着目し養殖に成功し、販売にたどり着いています。今後クロマグロに続く目玉商品として注目されています。その他も各所で養殖物は販売され、シガテラ毒の心配も皆無で美味しく流通しています。

イシガキダイまとめ

魅惑のイシガキダイ

イシガキダイはイシダイより大きく、多く生息し、老齢魚のイシガキダイはイシダイと同じ様に、何か神々しくも感じます。シガテラ毒の件から料亭や寿司屋からイシダイと共に激減し、残念な事ですが、飽食に走る人間への警告とも取れ、少し恐ろしくも感じます。寿司屋で昨今は「良いイシダイが入ったよ、握りますか?」というような会話はしばらく聞けないかもしれませんが、養殖技術のおかげで今後戻って来る可能性は高く、有難い話です。