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勿忘草(ワスレナグサ)の育て方!種まきの時期や増やし方のコツをご紹介!

勿忘草という名前は知っていても、実際の花は見たことがなかったり、思い浮かばないという方も多いのではないでしょうか?今回は、そんな勿忘草の種まきや育て方、増やし方、剪定の仕方などについて順を追って解説していきます。勿忘草が楽しめる全国のスポットもご紹介します!
更新: 2021年5月13日
atsugon
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勿忘草の分類や原産地は?

ワスレナグサは、広義にはムラサキ科ワスレナグサ属の多年草の総称をいいます。 狭義には「シンワスレナグサ」の和名を指します。 ヨーロッパが原産で、北半球の温帯から亜寒帯にかけて約50種類が分布しています。 暑さに弱く、やや涼しい気候を好みます。 日本には、明治時代にワスレナグサ属の1つの種である「ノハラワスレナグサ」が輸入されて入ってきましたが、在来種としては「エゾムラサキ」が古来から北海道などの山深い地域に自生していました。 現在ワスレナグサとして流通しているのは、ノハラワスレナグサとエゾムラサキ、またはそれらの交配種が多くなっています。

勿忘草の種類について

ここでは、ワスレナグサをワスレナグサ属の総称として扱い、その種類についてそれぞれの特徴をまとめてみました。 ※ただし、交雑が進んでいて見分けがつかないものもあります。

シンワスレナグサ

観賞用として日本に入ってきましたが、野生化したり、在来種のエゾムラサキと交雑して全国に広がっています。 草丈は40~50㎝と大きめで、葉は対生に生えます。 園芸用に改良された品種に比べると花の色が少し地味なので、最近はあまり観賞用としては使われていません。 品種全体を指すこともある「ワスレナグサ」に対し、「真の」ワスレナグサである、という意味からこう呼ばれるようになったようです。

ノハラワスレナグサ

学名は「Myosotis alpestris」で、alpestris は亜高山の、または草本帯のという意味があります。 花の色はうすい青色や紫色で、日本では品種改良されて園芸種として流通しています。 一般的にワスレナグサという場合は、この種類を指すことも多いです。

エゾムラサキ

エゾムラサキは、ワスレナグサ属の中では唯一の日本原産種です。 花は、6~9㎜と比較的大きいですが、園芸種のワスレナグサと比べると小さくなっています。 茎が根元から立ち上がって伸びる点や、葉やガクに粗いカギ状の毛が生えている点、花びらの切れ込みが深い点が特徴です。

ハマワスレナグサ

茎は細く、あまり横に広がらず、花は2㎜程度とワスレナグサ属の中で最も小さめです。 近縁のキュウリグサと似ていますが、茎から実に伸びる果柄という部分が短めである点で見分けがつきます。 つぼみの時や咲き始めは黄色をしているのが、だんだんと花の色が青色になっていくという特徴があります。

ノハラムラサキ

ハマワスレナグサと似ていますが、花が2~4㎜とやや大きめ。 ガクの部分には、カギ状の毛が生えています。 また、花は開いても完全に平たくなりません。 もとは外来種ですが、野生化していて、田んぼのあぜ道などでも見ることができます。 名前の通り、山地や水辺よりも野原のような平地を好むようです。

勿忘草の園芸品種について

次に、園芸用として改良されたワスレナグサの代表的な品種について説明します。

ドワーフ

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草丈10~15㎝ほどの矮性の園芸品種です。 花色の種類には、青、白、ピンクがあり、ドワーフブルーやドワーフピンクなどの商品名で流通しています。 花色が濃くはっきりとしていて、コンパクトにまとまるので、鉢植えに適しています。

ブルームッツ

恵泉女学園園芸短期大学が育成した、高性の早咲き品種です。 品種名は、育成者の村上睦朗先生の愛称に由来するそう。 ほかの品種より花も葉も一回り大きく、淡いスカイブルーの花色が特徴です。 成長すると草丈が40㎝ほどになるので、地植えして群生させると見栄えします。 茎が長く、切り花にも向いています。


ミオマルク

草丈が低くこんもりと育ち、大輪の花が咲くのが特徴です。 耐寒性があるので、宿根草としてポット苗で流通しています。 花の色は、初めはピンク色をしていますが、だんだん淡い水色に変化していきます。

モナミブルー

ワスレナグサが花芽をつけるためには低温下に置く必要がありますが、このモナミブルーは、低温にあてなくても花が咲く品種です。 草丈20㎝ほどの矮性の品種で、花壇での混植や鉢植えに最適です。

シノグロッサム(シナワスレナグサ)

ワスレナグサと名はつきますが、近縁のオオルリソウ属に属します。 名前の通り、中国南西部が原産で、丈夫で育てやすい品種です。 花の中心部が黄色や白色のワスレナグサと異なり、花びらと同じ色をしています。 花壇や地植えでは約40㎝、鉢植えでは20~30㎝ほどに成長します。 低い草丈でも開花し、花色が鮮やかで観賞期間が長いのが特徴です。 メモリーマリンブルー、ミステリーローズなどの名前で流通しています。

ポイントで分かる!勿忘草の育て方

それでは、ワスレナグサの種まきから植え付け、開花時期、切り戻しなど、育て方の要点について具体的に説明していきます。

【育て方その1】勿忘草の種まきは?

秋まきは9月下旬、春まきは2月下旬以降がおすすめ

ワスレナグサは、暑さに弱いので、暖地では気温が20℃以下に下がった時期に種まきをします。 発芽の適温は15~20℃といわれており、寒すぎても芽が出ないので、冷涼地では春に種まきをした方がよい場合もあります。 種をまく前に、一晩水に浸けておくと発芽しやすくなります。 ワスレナグサの種は、発芽するのに光を必要としない嫌光性種子なので、種をまいた後は多めに土をかぶせておきましょう。 1~2週間ほどで発芽します。

【育て方その2】勿忘草の定植は?

直まきした苗を間引いて大きく育てるのがベスト

ワスレナグサは、移植を嫌うので、できれば種まきをしたのと同じ場所で苗を育てます。 本葉が4枚ほどになってきたら、少しずつ間引いて、最終的に株間が25㎝くらいで成長できるように整えます。 育苗ポットなどに種まきをした場合は、本葉が5~6枚ぐらいの時期に鉢植えなどに定植させるとしっかり根付きます。

【育て方その3】勿忘草の水やりは?

表面の土が乾いたら多めに与える

ワスレナグサは、やや湿り気のある土を好みます。 そのため、表面の土が乾いたら少し多めに水を与えて下さい。 特に、発芽するまでの時期と葉が少ない時期に水を切らすと、その後の成長に響くことがあるので注意が必要です。 プランターの場合は、水が多すぎると根腐れすることがあるので、様子を見ながら与えます。 地植えの場合は、極端に乾燥していなければ、基本は雨水だけでも育ちます。

【育て方その4】勿忘草の肥料は?

元肥を土に混ぜ込み、追肥は様子を見ながら

種まきをした場所でそのまま育てる場合は、土作りの際に緩効性の有機肥料などを元肥として混ぜ込んでおきます。 草花用の培養土を使う場合は、肥料分があらかじめ含まれているので必要ありません。 苗が育って葉が増えてきたら、ややリン酸が多めの追肥を与えて下さい。 窒素分の多い肥料を与えると、葉ばかり育ってつぼみがつきにくくなります。 生育期間中に下葉が黄色くなってきたら、液体肥料を追肥してもよいでしょう。

【育て方その5】勿忘草の開花時期は?

暖地では3月頃、冷涼地では5月頃に咲く

ワスレナグサは、10月頃に種まきをすると、小さい苗の状態で冬を越し、春先の3月頃に開花します。 冷涼地で春に種まきした場合は、5月頃から咲き始めます。 一度花が咲くと、次々につぼみができてどんどん咲き続けるので、開花時期を長く楽しみたい場合は、種ができないように花がらをこまめに摘み取るとよいでしょう。 小さいうえに多数の花が咲くので、一週間に一度くらいの割合で花がら摘みができると理想的です。


【育て方その6】勿忘草の切り戻し剪定は?

成長が進むと徒長してくるので、切り戻し剪定が必要

ワスレナグサは、花の咲き始めはまとまって見えますが、草丈が伸びてくるとどうしても形が乱れてしまいます。 また、花が咲いた後そのままにしていると、花がらが種になってしまいます。 そのため、花を長く楽しむためには切り戻し剪定をした方がよいでしょう。 切り戻しは剪定のひとつの方法ですが、ワスレナグサの場合は、主茎を残し、花が終わった後の茎を根元近くまで切ります。 切り戻し剪定をすることで、株間も広くなり、風通しがよくなるので、害虫の発生を抑える効果もあります。

【育て方その7】勿忘草がかかりやすい病気は?

育てる環境によっては灰色カビ病が発生することもある

ワスレナグサは、水を好む植物ですが、茎や葉が常に濡れているような湿度の高い環境で育てると灰色カビ病が発生することがあります。 群生していると、一株の病気がほかの株にどんどん広がってしまうので、見つけたら傷んだ葉や株を早めに取り去って、伝染を最小限に留めましょう。 葉が茂ってきたら切り戻しておくことも病気を防ぐための方法の一つです。

【育て方その8】勿忘草の増やし方は?

種まきでの増やし方が最も一般的

ワスレナグサの増やし方は、種まきが一番安価な方法です。 葉が何枚か出た状態の苗の鉢植えが年明けくらいから出回りますが、鉢植えでは1株か2株しか育てられません。 鉢植えの苗を大事に育てて種をとり、翌年に種をまくという方法もありますが、1年目からワスレナグサの群生を楽しみたいなら、ちょっと大変ですが種まきからチャレンジして増やしてみて下さい。

【育て方その9】勿忘草の種の取り方は?

ワスレナグサの種は細かく、ひとつの実ごとに集めようとすると大変なので、花が終わったら採種用の株をわざと残しておきます。 種が茶色くなって十分に熟してきたら、刈り取って乾燥させ、広いトレーの上などで実を揉みほぐすと種が簡単に取れます。

勿忘草の群生が見られるおすすめスポットは?

それでは、いよいよワスレナグサの群生が見られる全国のおすすめスポットについてご紹介していきます!

北海道・大雪森のガーデン

森林の中にある自然を活かした広大なガーデン。 大雪山をバックに様々な草花が楽しめます。 700種類の草花が咲き乱れる「森の花園」は、園芸家の上野砂由紀さんが監修していて、毎年草花の種類を増やして改良を続けているそうです。 ワスレナグサの群生のなかに咲く草丈の高いチューリップが目を引きます。

長野県・大王わさび農場

信州・安曇野に行ったら一度は立ち寄りたいスポット。 清らかな水の流れと緑一面のわさび田を見ると、心が洗われるような気がします。 ワスレナグサは、農場内の親水広場の水辺に5月頃から咲き始めます。

長野県・開田高原

木曽馬の里や、紅葉スポットとしても有名な開田高原。 水生植物園や末川沿いに群生して咲くワスレナグサがあります。 開田に嫁いできた娘が、花嫁道具と一緒に持ち込んだワスレナグサの種が広がったといわれています。 6月中旬~8月頃が開花時期のピークです。

富山県・砺波チューリップ公園

色とりどりの大輪のチューリップがたっぷり楽しめる都市公園です。 チューリップフェアの期間中は、沢山の観光客が訪れます。 ワスレナグサは、主役のチューリップを引き立てる美しさです。


栃木県・日光植物園

東京大学が管理する小石川植物園の分園です。 研究施設ですが、散策しながら豊かな森に植えられた様々な種類の植物を見ることができます。 森林浴にもおすすめ。

茨城県・水戸市植物公園

開園30周年を迎えた老舗の洋風ガーデン。 テラスガーデン、観賞大温室、芝生園、ロックガーデン、湿生花園など色々な形の温室やガーデンを見ることができます。 庭づくりの参考できるヒントが見つかるかも。 通路際に植えられたワスレナグサがナチュラルでいい感じです。

神奈川県・横浜イングリッシュガーデン

バラの美しさでは定評のあるガーデン。春バラと秋バラ、両方の季節で楽しめます。 横浜駅から無料送迎バスが出ていたりとアクセスも良いので、横浜を訪れたついでに寄って見るのもよさそうです。 ワスレナグサは、4月の春のガーデンで見ることができます。

静岡県・アカオハーブ&ローズガーデン

どの時期に訪れても四季折々の花が楽しめるアカオハーブ&ローズガーデン。 温暖な気候のためか、2月頃からワスレナグサが咲き始める年もあります。 赤いチューリップやピンクのデイジーとのコントラストがきれいですね。

京都府・宇治植物公園

起伏に富んだ地形を活かして、四季のゾーンやハーブ園などを設けた植物公園。 立体花壇「花の水のタペストリー」は見ごたえがあります。 画像はポピーと混植されているワスレナグサです。

滋賀県・水生植物公園みずの森

ハスの群生や、水生植物を集めた「ロータス館」など珍しい施設があるみずの森。 隣接する琵琶湖周辺の植物が観察できます。 ワスレナグサは、園内の花壇や水辺で4月頃に見かけることができます。 画像では、深めのコンテナに植えられたワスレナグサがツツジを引き立てています。

広島県・国営備北丘陵公園

青と白とピンクに染め分けるように植えられたワスレナグサ。本当にきれいです。 草丈も揃っていて、きちんと剪定されていることがうかがえます。 畑のように高うねにすると列植の美しさが際立ちますね。

【勿忘草の育て方!】まとめ

ワスレナグサの種類や花の咲く時期、切り戻し剪定や増やし方などについて簡単にまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか? 行ってみたいお気に入りのスポットは見つかりましたか? ワスレナグサには園芸種が豊富なので、鉢植えには矮性のものを、花壇や地植えには高性種を、と棲み分けさせてみるのも面白いかもしれませんね。