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はだか麦とは?他の麦との違いや栽培・食べ方をご紹介!

初夏の麦畑は麦秋と呼ばれています。その時期に麦が黄金色に実るからです。なかでもはだか麦は玄麦が容易に得られ、そのまま料理にも使うことができます。栄養豊富で、風味豊かです。はだか麦は冬の菜園に緑を与え、麦とともに麦わらはマルチ材や手芸にも使えます。
2020年8月27日
ka123eru
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大麦とは 

大麦とはどんな麦でしょう。そして大麦からはいろいろな食品や飲料がつくられています。それぞれみていきましょう。

他の麦と比較

麦には小麦、大麦、ライムギ、えん麦などがあります。このうちとくによく利用されるのは大麦と小麦です。大麦はほかの麦とは属が違い、べつの種の麦です。大麦は小麦に含まれるグルテンを含みません。その点に違いがあります。

大麦と小麦 素材としての違い

大麦は麦飯に利用されるほかにビール、みそ、麦こがしなどに利用されます。 小麦と同様、その特徴を生かして大麦からもさまざまな食品がつくられています。大麦からはたとえば飲み物としてはビールやウイスキーが作られます。麦ごはんは最近の健康ブームで食物繊維が豊富ということで見直されてきています。 小麦に含まれるグルテンが大麦にはないので、大麦だけでパンを作ると重くかたいパンになります。小麦粉に混ぜてパンを作ってみると風味の違ったパンができます。 その逆に小麦をご飯のように炊くとパサパサになってしまいます。麦飯には大麦を入れます。さらに大麦は粉にして小麦粉と半々に混ぜて麺にすると、大麦めんをつくることができます。このようにさまざまな食べ方ができます。

大麦の品種による違い その利用

利用の仕方によって大麦にはそれぞれ適した品種があります。

二条大麦と六条大麦

ビールを作るのに用いる大麦は二条大麦です。それに対し、麦飯やみそなど食用として使われているのが六条大麦です。 この二条と六条とは穂の実のつき方が違います。花(のちの実)が縦に2列つまり二条にならぶのが二条大麦です。それに対して縦に6列ならぶのが六条大麦です。 この六条大麦は押し麦として栄養をおぎなうため、米の代用として米に混ぜて使われてきました。また煎ったうえで煎じると麦茶となります。

皮麦とはだか麦の違いとは

ここでは話を簡単にするために、六条大麦を中心に上の図のように分類して説明します。 図では略していますが、二条大麦と六条大麦のそれぞれに対して、皮麦とはだか麦があります。 殻(皮)と子実(玄麦部分)が密着してはがれにくいのが皮麦です。皮麦は脱穀の手間がかかります。それに対してはだか麦は軽く押さえただけで子実つまり玄麦が得られます。これでそのまま料理に使えます。 そしてこのはだか麦には、もち麦とうるち麦があります。これはもち米とうるち米の違いと同じです。もち麦やもち米のモチ性というのは、子実の胚乳に含まれるでんぷんのねばりけに関する性質の違いによるものです。

はだか麦 もち麦はもちもち

もち麦については市販品もあります。一度ご家庭のレシピに取り入れて、もち麦独特の食感と風味を味わってみるとよいでしょう。

味噌や焼酎にもなる

はだか麦は、麦みその原料としてよく使われてきました。みそのうまみは麦に含まれるたんぱく質が発酵の段階で分解して生じます。栄養豊富な麦だからこそ、みそとしての利用が可能なわけです。 麦焼酎の原料でもあります。はったい粉やその他にも最近ではグラノーラの原料にもなっています。上に書いたように、なかにはもち麦といってもちもちした食感の麦があります。もち麦のこの食感はスープの具などによさそうです。ちょうど米にうるち米ともち米があるのと同じです。食べ方はこのようにいろいろです。

はだか麦の栄養・食べ方・レシピの紹介

ここでは大麦の中でも育てやすく利用しやすいはだか麦について、栄養、食べ方、料理での使い方などのレシピを紹介していきます。

栄養のあるはだか麦で料理レシピに変化を

はだか麦は実が皮から容易に外れて玄麦となります。ちょうど米の玄米に相当します。栽培も容易で、収穫後の処理が皮麦と比較すると容易で利用しやすいといえます。栄養も豊富なのでさまざまな食べ方や料理に活用できる可能性をもっています。

はだか麦は玄麦利用で栄養豊富

はだか麦はそのまま料理に用いることができるので重宝します。皮つきのままですと冷暗所などで長く保存できます。 玄麦は胚芽部分を含みますのでタンパク質や栄養が豊富です。発芽のために必要な養分を蓄えていますから、玄米と同様にビタミンB1などを代表として種々のビタミンやミネラルも豊富に含みます。食べ方によっては栄養をしっかりとることができます。 玄米とくらべて糖質やカルシウムが多いのも特徴です。

玄麦のはだか麦にはβグルカンがいっぱい

はだか麦の玄麦には、βーグルカンと呼ばれる食物繊維がとても豊富に含まれて、健康志向の今日においてその良さが見直されています。最近は米粉を利用したパンなど穀物をアレンジして使う試みがいろいろと行なわれています。したがって、大麦粉に加工すると、パンや麺の材料の一部になります。食べ方もいろいろで栄養豊富で新たな料理のレシピができます。

はだか麦の栽培法


それではまずは育て方を示しましょう。はだか麦の種子はネットや大きめの種苗店で入手できます。

育てやすい品種

マンネンボシは比較的新しい品種です。実のそろいがよく、茎の高さが低めで倒伏しにくい特徴があり、多収でおすすめです。

はだか麦を育てる場所

基本的に日当たりがよい雪が少ない地方ならば育てることができます。はだか麦を育てる場所は、11月中旬までに準備しておきます。1平方メートルあたりバケツ半分ほどのたい肥もしくは腐葉土、ひとつかみの苦土石灰をまきます。

東西向きに畝づくり

鍬などで15センチほどの深さまで耕します。可能ならば東西に向けて畝をつくとよいです。冬の弱い日差しでもどの株にもまんべんなく日があたります。

元肥の準備

このまま1週間から10日ほど置き、土になじませます。そこへ1平方メートルあたりひとつかみの化学肥料(もしくは有機質肥料)とふたつかみのたい肥を土に混ぜます。さらに1週間おきます。元肥は、種子に含まれる栄養を使い根を伸ばし、そこで元肥の養分を吸収するようになります。その後の追肥とともに順次、麦の生育に栄養が途切れないようにします。

畝に種まき用の溝をつける

1週間から10日間ほどおいて土に肥料ががなじんだら、土の表面をならします。ガイド役のひもを張り、そこへ鍬、棒や板などで土に3~5センチの浅い溝を作ります。溝の幅は5から10センチほどです。

はだか麦の種まき

そこへ3,4センチおきに、はだか麦の種子を2,3粒ずつまきます。条間は60センチにします。

水やりはいらない

その上に土をかぶせて溝をうめます。鍬の背で土を押さえておわりです。種子と土が密着していたほうがいいです。水やりは特に必要ありません。発芽が心配な方は種まきのときだけ水やりしてもかまいませんが、そのあとはまったく必要ありません。 どうしても水やりしたい方はじょうろでの水やりがおすすめです。ホースなどで行うと種子が流れてしまうことがあります。

発芽!

1週間ほどで発芽がはじまります。11月の菊が咲くころです。発芽とはじめの数枚の葉の生長に必要な栄養は種子に含まれています。しばらくすると芽が上にのびて葉が何枚か出てきます。単子葉植物ですからほっそりした葉です。根はひげ根でそれほど深くは張りません。

麦栽培に特有な作業 麦踏

寒くなると霜が降りるようになります。この時期になると麦については、ほかの植物の栽培ではあまり例がない独特の作業を行う必要があります。麦踏です。

麦踏するわけ

寒い時期には株が霜柱で持ち上げられてしまいますので、麦踏みをします。それとともに踏むことで麦の分けつをうながします。分けつすることでしっかりした倒れにくい株になるとともに、その分だけ穂が余計につきます。

麦踏の実際のやり方

霜柱で株が持ち上がらないように押さえつけていきます。株がごく小さいうちは軽く踏む程度でいいです。株が大きくなるほど強く踏んでかまいません。より強い株になります。 株が傷まないか心配なさるかもしれません。上から踏めばぺしゃんこになります。しかししばらくすると葉がしゃんと立ち上がります。踏むことで分けつしやすくなり、穂がたくさん上がるようになります。そして丈夫な苗になります。徒長気味の株はこれで生育が抑えられて、逆にしっかりした株になります。そのためしっかり麦踏します。

冬の時期のべつの栽培の作業

麦踏のほかに春に充実した穂にするために必要な作業があります。それを紹介します。


寒い時期は小さめの株ですごす

年内は大きくするよりもずんぐりとしてしっかりした株になることを目指します。もっとも寒さの厳しい時期はこのような株の状態で過ごします。

追肥のやり方

1月末から2月前半と、2月末から3月上旬の合計2回、元肥の半量を追肥します。そして土寄せします。草が生えている場合には除草したうえで追肥します。2回目の土寄せは1回目よりも多めに土を寄せます。それによって倒伏を予防します。

除草がたいせつ

途中で雑草が生えることがあります。麦がよく育ってくると茂りますのでそれほど草は生えませんが、小さなうちはしっかり除草する必要があります。あたたかい冬の場合には油断すると、西日本の場合にはけっこう草が生えてきます。

出穂以降のはだか麦の変化

春になると花が咲きはじめます。いよいよ小さかったはだか麦の苗がとたんに元気になります。そしていよいよ出穂です。

出穂(しゅっすい)します!

春が近づいてくると、株の様子が違ってきます。穂が立ち上がってくるからです。この時期までに追肥が効いているとよい穂が立ち上がってきます。麦踏をしっかりやった株ほど出穂する穂の数が多くなります。

目立たない開花

写真には花が見当たりませんが、花はほんとうに目立ちません。イネ科はコメもそうですが花は開花しても本当に小さいです。

穂が膨らむ

そのため、いつのまにか穂のなかの子実が大きくなりつつあります。しかしはだか麦の場合には稲のようには穂が垂れてくることはありません。見た目は重そうに感じるように見えてきますが、実際にはそれでも穂は青いまままっすぐ天を向いています。

土寄せ

このころになると頭でっかちになってきますから、倒伏のおそれが出てきます。そのために根元に十分土寄せをして倒伏を避けるようにします。小面積の栽培ならば周囲にひもを張るなどの処置をしておくとよいでしょう。

穂が熟す

それから数週間のうちに下葉から黄色くなってきます。これは地域によって違いますが、野菜苗をそろそろ植え付けの準備をしようかという時期です。西日本では5月の連休の頃にはみるみる麦が黄金色に変化してきます。そのあいだに穂がみるみる充実していってます。穂をつまんでみてかたくなっていれば収穫できます。

はだか麦の収穫

穂が充実したらいよいよ収穫です。その手順を示します。

麦わらで刈るか穂で刈るか

収穫は小面積ならば手で根元をつかみながら、束にして刈ります。そのままひもで結んで乾燥のために袈裟懸けします。少量ならば物干しなどに袈裟懸けするとよいでしょう。穂先だけはさみなどで刈り取る方法もあります。

袈裟(けさ)懸け

刈った分から順次袈裟懸けするとはかどります。晴天ならば数日以上干すとしっかり乾きます。雨の日は取り込み、晴れると干すようにすると早く乾燥させられます。

脱穀作業


脱穀は少量ならば、シートの上から踏みつけるのが早いです。少量ならばビニール手袋をはめた手で穂をしごくととれます。厚手のビニール袋に入れてもむとノギ(とがった部分)が皮と一緒にとれます。ノギや皮などをとばして脱穀できた状態が玄麦です。ノギ(穂先のとげ)などが目に入らないように気をつけてください。

よく乾燥させて保存

この状態でしっかり乾燥したようならば、乾燥剤とともに冷暗所もしくは冷蔵庫の野菜室などに保存します。もちろん皮つきのままでも保存できます。

玄麦利用のレシピ

はだか麦の玄麦はさまざまなかたちで利用できます。さらに工夫の余地が考えられます。

いろいろな料理のレシピに活用できそう

こうして得た玄麦は栄養豊富でそのまま料理に用いることができます。このまま製粉すれば、そば粉のように色のついた大麦の玄麦粉になります。小麦粉と半々に混ぜることで大麦めんができます。グルテンを含まないので強力粉と混ぜて使うといいでしょう。またべつのレシピもあります。玄米を煎って、麦茶に使ったり、煎ったものを粉にひくと栄養のあるはったい粉になったりします。これらもまた大麦の麦の独特の風味を活かした食べ方といえます。

玄麦から精麦

精米機などを使って玄麦から精麦することもできます。精麦したものをスープの実にしたり、ご飯を炊く際にまぜたりできます。そのままみそをつくることもできます。

大麦の活用

栽培中の大麦そのもの、さらに大麦から得られる麦わらは様々な用途に用いることができます。

マルチ用の大麦

写真(奥)はマルチ用の専用の大麦(てまいらず)です。こののちかぼちゃがつるを伸ばしながら巻き付いて伸びていきます。また大麦はかぼちゃの株の植え付けに合わせて春まきしますと、梅雨時までに30センチ程度まで育つとそのまま枯れます。そのために最初は風よけとして、さらにそのあとはかぼちゃのつるの保持と泥除けのマルチとして、最後は緑肥として有効に作用します。

風よけに使える大麦

大麦をそばに植えて風よけの役割をしてもらうことができます。冷たい北風が苗に直接あたることを避けられます。また海や山からの強い風から苗が守られます。大麦の畝間を広めにとり、ピーマンなどの野菜苗を早く植えつけることができます。風よけとしては北側に大麦を植えると有効です。

麦わらの利用

刈り取って穂をとった残りの麦わらは畑や庭で重宝します。天然のマルチ材になるからです。そのまま放置してもゴミになりません。いつの間にか土にかえっていきます。 ビニールマルチのように熱がこもったり、湿度が高くなりすぎるということもなく最適のマルチ材といえます。

まとめ

このように大麦、とくにはだか麦は栽培しやすいです。子実がポロリと皮からとれて、収穫後の手間が少ないです。しかも食物繊維が豊富で、健康志向でこれからの食べ物とといえます。したがって料理のレシピを増やしたい、独自のアレンジを加えたい方にはうってつけの食材といえます。とくにはだか麦のもち麦の独特の風味や食感はうるち麦と違います。大麦の栄養そのままでこれからさまざまな食べ方ができそうです。